寄与分の相談は弁護士 小西法律事務所

寄与分 弁護士 小西法律事務所

寄与分を主張するための要件

1. 寄与行為の存在
2. 寄与行為が「特別の寄与」と評価できること
3. 被相続人の財産の「維持」又は「増加」があること
4. 寄与行為と被相続人の財産の維持又は増加との間に因果関係があると評価できること

寄与行為の存在

まず、寄与分は、その行為に対する対価を相続に際して主張するものですので、無償又はそれに近い寄与行為の存在が必要になります。

具体的には、被相続人の事業に関する労務の提供や財産上の給付、被相続人の療養看護、その他の方法でなされた(民法904条の2)被相続人の財産の維持、増加に貢献した行為を指します。

寄与行為が「特別の寄与」と評価できること

次に、寄与行為が「特別の寄与」(民法904条の2第1項)と認められる行為でなければなりません。

民法上、夫婦聞の協力扶助義務(民法752条)、直系血族及び兄弟姉妹の扶養義務(民法877条)及び直系血族及び同居の親族の相互扶助義務(民法730条)の定めが置かれており、その範囲内での行為であれば寄与行為とは認められません。

すなわち、ここにいう「特別の寄与」とは、身分関係に基づいて通常期待されるような程度を越える貢献でなければならないと考えられています。

例えば、妻に寄与分があるというためには、家事労働のほかに夫の農業や家業を手伝ったり、共働きだったりする程度のことが必要となります。

実際、8年間被相続人と同居して面倒を見たことをもって寄与分の存在を主張した被相続人の直系血族に対し、それは扶養義務の履行であって、遺産の維持に貢献したとはいえないとした判例(東京高決昭和54年5月14日家月32巻4号53頁)があります。

なお、寄与の類型・態様としては、以下のような区別があります。

@ 事業従事型

被相続人の営む事業に無報酬又はそれに近い状態で従事し、労務を提供することによって相続財産の維持又は増加に寄与した場合です。

被相続人の営む事業としては、個人営業がその典型であると思われます。なぜならば、被相続人が経営する会社の事業に従事した場合には、会社の財産の維持増加に貢献したと認められることはあっても、被相続人の財産の維持増加に貢献したと認められることはなかなかないからです。

しかし、被相続人が経営する会社の事業に従事した場合であっても、会社への寄与と被相続人の財産の維持増加との聞に明確な関連性が認められれば寄与分が認められます(高松高決平成8年10月4日家月49巻8号53頁)。

なお、特別の寄与にあたるか否かの判断は、第三者を雇用した場合の給付との差の有無、就業期間の長短、身分関係などの事情を総合的に検討して行われます。

共同相続人の一部について寄与分が認められるのは、その寄与の程度が相当に高度な場合でなければならないため、相続人が被相続人の事業に関して労務を提供していたとしても、提供した労務に見合った賃金や報酬等の対価が支払われていた場合には、寄与分と認めることはできません。既に支払われた賃金や報酬等が労務の対価として十分でない場合は、その対価の支払いを受けていない部分については寄与分として認められる余地があります。

A 財産支出型

被相続人又は被相続人が営む事業に対して、財産上の給付あるいは財産的な利益を提供することによって財産を維持増加させた場合などです。

なお、被相続人が負っていた借金を弁済することによって被相続人の財産の維持増加に貢献した場合なども同様です。

この場合における寄与分の判断は、その行為が無償で行われているか、相続開始時に財産を支出した結果が残っているかなどを踏まえてなされます。

この類型の具体例として、過去の裁判例には、被相続人が創業した株式会社が被相続人自身と経済的に極めて密着した関係にあり、同会社の経営状態、被相続人の資産状況、相続人による援助の態様等からみて、相続人の同会社への援助と被相続人の資産の確保との聞に明確な関連性がある場合には、援助を被相続人に対する寄与と認める余地があり、自転車操業状態であった同会社に、医師としての信用等によって資金提供を行った相続人に対して遺産全体の20パーセントの寄与分が認められた事例(高松高決平成8年10月4日家月49巻8号53号)等があります。

B 療養看護型

共同相続人の一部が被相続人の療養看護を行い、医療費や看護費用の支出を避けることによって相続財産の維持増加に貢献した場合です。

なお、金銭を支払い、第三者に依頼して被相続人を療養看護した場合には先ほど述べた財産給付型のー態様と考えればいいと思いますが、相続人自身やその親族が療養看護をした場合には問題が深刻になります。

このような場合、寄与分の有無は、療養看護の必要性、身分関係、療養看護に従事した期間などを踏まえて判断されることになります。

実際に、相続人の妻の被相続人に対する療養看護は、親族聞の通常の扶助の範囲を超えるものであり、そのため、被相続人は、療養費の負担を免れ、遺産を維持することができたと考えられるから、遺産の維持に特別の寄与貢献があったものと評価するのが相当であるとした事例(神戸家豊岡支審平成4年12月28日家月46巻7号57頁)、相続人の妻子による被相続人の介助が、相続人の履行補助的立場にある者の無償の寄与行為として、特別の寄与にあたるものと解されるが、同居していることにより生活上の諸利益を得ていたことが推認されるので、寄与分の算定にあたっては、同居の親族として一定程度の相互扶助義務を負っていることも考慮されなければならないとして、社団法人日本臨床看護家政協会作成の看護補助者による看護料金一覧表による普通病の場合の一人当り基本給を参考に、親族としての相互扶助義務考慮による減価を0.3として寄与分を算定した事例(東京家審平成12年3月8日家月52巻8号35頁)等があります。

C 扶養型

特定の相続人のみが被相続人を扶養し、被相続人の支出を減少させた場合です。

この類型に含まれるものとしては、特定の相続人が被相続人を現実に引き取って扶養する場合と、特定の相続人が金銭を支出することによって扶養する場合が考えられます。

この類型については、扶養義務の有無及び相続人が受けた利益などを要素として、寄与分の有無が判断されます。

この類型に含まれる事案としては、本来は被相続人(母)を8人の子で扶養すべきところ、二男が全面的にその扶養を引き受け、825万円余の金銭的負担をしたために被相続人は自己の財産を費消しないで遺産を残せたのであるから、この二男にはその本来的部分を越えて負担したものとみなされる部分に対応する寄与を認めるのが相当であるとして、遺産総額4,300万円のうち730万円を寄与分として認めた事案(大阪家審昭和61年1月30日家月38巻6号28頁)等があります。

D 財産管理型

被相続人の財産を管理し、被相続人が管理費用の支出を免れるなどにより被相続人の財産の維持に寄与した場合です。

具体的には、不動産の賃貸管理、建物の修繕の実施、不動産の公租公課の負担などが考えられます。

実際に、この類型に含まれる事案として、被相続人所有の土地の売却に当たり、同土地上の家屋の借家人との立退交渉、同家屋の取壊し及び滅失登記手続、同土地の売買契約の締結等に努力した相続人につき、土地売却価格の増加に対する寄与を認め、寄与の程度を定めるにあたり不動産仲介の手数料基準を考慮した事案(長崎家諌早出張所審昭和62年9月1日家月40巻8号 77頁)等があります。

E その他

これまでの類型に含まれない事案として、一部の相続人が相続放棄を行ったことにより、他の相続人の相続分を増大させた後、当該他の相続人について相続が発生した場合に、先行した相続における相続放棄が特別の寄与にあたるかという問題があります。

このような場合、原則として寄与分は否定されますが、先行した相続における相続放棄の理由又は動機、先行相続から後行相続までに経過した期間などを考慮して寄与分を肯定できる場合もあります。

被相続人の財産の「維持」又は「増加」があること

寄与行為の前後で被相続人の財産が増加したことが必要になります。

寄与行為と被相続人の財産の維持又は増加との間に因果関係があると評価できること

相続人による貢献が寄与分として認められるためには、その貢献によって被相続人の財産が維持増加したことが必要となります。すなわち、相続人による寄与行為と遺産の維持増加との聞に因果関係が存することが必要となります。

例えば、被相続人が個人事業として農業を経営していた場合に、被相続人に代わって、あるい は事実上経営者として専従し、その結果遺産が維持された事案について、寄与行為と財産の維持増加との間に因果関係が認められました(仙台高決昭和52年6月16日判タ359号280頁)。

なお、相続開始後の行為について寄与分を認めるべきであると主張される場合があります。具体的には相続開始から分割までに長期間を要し、その聞に共同相続人の1人が財産管理をしており、それによって遺産が維持されたと思われるような場合です。

確かに、このような相続開始後の行為を寄与分として認めるべきであるとの見解もありますが、多数説は、民法904条の2第1項が「被相続人の財産の維持又は増加」と定めていること及び相続開始時における被相続人の財産の価額から寄与分を控除して相続財産を算出することを定めていることを理由として、相続開始後の行為は寄与分として考慮されないとしています。

この点に関しては、相続開始後の寄与分を否定し、相続財産に関する費用として算定した事例があります(東京高決昭和田年6月19日判タ452号158頁)。

無料法律相談お申込み

CONTACT

小西法律事務所

KONISHI LAW OFFICE

〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満3-13-18【MAP】 島根ビル4F (1F:ミスタードーナツ)
地下鉄 堺筋線・谷町線南森町駅2番出口を出て阪神高速高架をくぐり徒歩5分
京阪本線北浜駅26番出口京阪中之島線なにわ橋駅3番出口を出て、難波橋を渡り徒歩6分
JR東西線大阪天満宮駅3号出口を出て、阪神高速高架をくぐり徒歩 6分
  • 弁護士なら大阪の小西法律事務所
  • 公正証書遺言
  • 離婚・慰謝料
  • 相続・遺産分割
  • 成年後見
  • 交通事故の解決なら